宮城県では、0円の空き家・土地を集めたサイトにこれまで29件の掲載があり、大崎市や栗原市、白石市など県内の14市町に散らばっています。半数を超える16件は家付きの物件で、10市町にありました。「仙台 空き家 無料」という検索は、キーワードツールで調べると月に390件ほどありますが、仙台市の物件は作並温泉に近い別荘地の山林1件だけなので、この記事では県内全体の物件を扱います。ただし、建て替えができない(再建築不可の)家や、0円でも温泉の負担金などが数百万円かかる別荘も含まれていました。この記事では、0円物件サイトに宮城県で掲載された29件を、1件ずつ詳細ページと説明文まで確認して集計しました。その結果をもとに、宮城県で0円や低価格の空き家を探す方法と、譲り受ける前に確かめたい点をまとめます。
宮城県の0円物件の実例(29件)
0円の空き家・土地の掲載に特化した「みんなの0円物件」を2026年10月3日に確認したところ、宮城県でこれまでの掲載は29件でした。状態の内訳は次のとおりです。
| 状態 | 件数 |
|---|---|
| 成約済み | 24件 |
| 募集中 | 2件 |
| 受付停止 | 2件 |
| 取引中止 | 1件 |
成約した24件の、掲載から成約までの日数の中央値は133日です。30日以内に成約したのは2件で、2年以上かかった物件も2件ありました。掲載は2023年から毎年5〜7件で、2026年も確認時点で6件ありました。
掲載のある市町は14で、多いのは大崎市(5件)、栗原市・白石市・亘理町(各3件)です。
半数以上は家付き、古い家が中心
各物件の詳細ページと説明文で確かめると、29件のうち16件は家などの建物が付いた物件でした。状態は成約済み14件、募集中2件です。成約した14件の、成約までの日数の中央値は155日でした。
築年が書かれた11件のうち、10件は1945年から1980年に建てられたもので、1981年より前でした。1981年以降は、1987年築の別荘の1件だけです。一般に、1981年6月1日より前に建築確認を受けた建物は、今の耐震基準より前の基準(旧耐震基準)で建てられています。
説明には、次のような物件がありました。
- 大崎市の平家と土地5筆:1978年築で、少し前まで知人に貸していたと書かれていました。掲載から2日で成約しています。
- 涌谷町の縁側のある平家:1980年築で、500坪を超える庭が付いています。トイレは汲み取り式で、畳や床、水回りの修繕は必要とされていました。14日で成約しています。
- 石巻市の倉庫付きの2階建て:1973年築で、残っている物はなく「すぐに入居出来ます」と書かれていました。台所と風呂は約20年前にリフォーム済みですが、一部に雨漏りがあるとされています。54日で成約しています。
家付きの物件の固定資産税は、書かれた6件で年5,400円から68,300円でした。
家付きの物件で確かめたいこと
宮城県の家付きの物件の説明には、次のような点が書かれていました。
- 別荘地の管理費と温泉の負担金:蔵王町の遠刈田温泉の別荘地にある1987年築の家は、「すぐに住める状態」(給排水や暖房設備などは点検が必要)とされる一方で、別荘地の管理会社に毎月27,500円を払う必要がありました。さらに、「物件代金は0円ですが、別荘地の下記費用がかかります」として、温泉施設の負担金330万円や温泉給湯の負担金90万円など、初期費用が4,422,000円と書かれていました。成約までに734日かかっています。同じ蔵王町の温泉付きの物件も、管理費などが月24,200円で、積立金・温泉所有権の負担金が330万円とされていました(説明には「所有権移行時に返却されます」とだけあり、誰にいつ返るのかは読み取れないので、管理会社に確かめましょう)。
- 建て替えができない家:気仙沼市の家と角田市の家は、再建築不可の土地と書かれていました。壊したあとに新しい家を建てられない可能性があり、大きな改修も、内容によっては建築確認が必要になってできない場合があります。改修の計画は、市町の建築の窓口で確かめましょう。角田市の家は、道幅が軽自動車がぎりぎり通れる程度とも書かれていました。
- 傷みが大きい家:確認時点で募集中だった栗原市の1971年築の家は、屋根の一部が飛んでいるなどの損傷があり、物置は崩壊していて、鍵もないとされていました。大和町の家は、建物を「人が住める状態ではありません」(一部の4坪ほどは使えると思うとも)と書かれ、敷地は「消防用通路に隣接する袋地」とされていました。
- トイレが汲み取り式・古い設備:家付き16件のうち3件(白石市2件・涌谷町)は、トイレが汲み取り式と書かれていました。大崎市には、1945年築の茅葺きの家に五右衛門風呂が付いた物件もあり、成約までに899日かかっています。水回りや屋根がどうなっているかは、物件ごとに確かめましょう。
- 畑が付いている:角田市の家に付いた畑について、所有者は農業委員会に問い合わせ、住まいに隣接する農地として、個人が家庭菜園などに使う場合は地目を変えずに譲渡できると説明を受けたと書いていました。ただし、事業に使う場合は許可がおりない可能性があるとされています。田や畑を取得するには、原則として農地法の許可が必要なので、所有者の説明だけで判断せず、自分でも農業委員会に確かめましょう。
土地で確かめたいこと
家が付いていない土地の13件の説明には、次のような点が書かれていました。
- 津波の浸水:亘理町の駅から徒歩8分の土地は、「東日本大震災で津波による浸水があった土地です」と書かれていました。土地の災害の危険は、市町のハザードマップで確かめましょう。
- 道路や場所の問題:山元町の土地は、つながる道路がほかの人の名義らしく、不動産会社に取り扱いを断られたと書かれていました。同じ山元町の別の土地は、藪の奥にあって所有者がたどり着けていないとされていました。
- 共有の持分・私道:亘理町の高台の土地は共有の持分で、別の土地は私道の持分を含むとされていました。
- 広い農家の土地:大崎市の専業農家だった実家の土地(約4,763㎡)は、母屋が解体済みで、固定資産税が年169,600円と書かれていました。
土地の固定資産税は、0円や請求なしと書かれたものが3件、年5,600円から169,600円と書かれたものが3件でした。
空き家バンクで探す
0円物件サイトでは確認時点で募集中の物件が2件だったので、市町村の空き家バンクもあわせて確認しましょう。宮城県の「市町村における空き家等対策の取組みについて」のページでは、市町村ごとの空き家バンクのページへのリンクがまとめられています(情報は2026年5月時点)。角田市のように、空き家バンクを休止中としている市もあります。
アットホームが運営する「空き家バンク」のサイトでは、宮城県から17市町村が参加しています。2026年10月3日に売買物件を確認すると、92件が表示されました。多いのは登米市(36件)、石巻市(19件)、柴田町(7件)、白石市(6件)です。
- 種類は、戸建てが89件、土地が3件でした。
- 価格が100万円以下の物件は8件(すべて戸建て)で、登米市が5件でした。最も安い物件は20万円です。
- 0円の物件はありませんでした。
0円物件サイトで多かった大崎市はアットホームに参加しておらず、栗原市と気仙沼市は参加していても表示される物件は0件でした。アットホームに物件が出ていなくても、市町村の空き家バンクに物件がないとは限らないので、県のページから各市町村の空き家バンクもあわせて確認しましょう。
なお、白石市のサイトには「土地提供(無償)情報」というページもありますが、確認時点では「現在、掲載されている情報はありません」とされていました。
白石市・栗原市の補助は「購入」や「空き家バンク経由」が前提
宮城県の市町村には、住宅の取得や空き家の改修への補助があります。当サイトで確認した白石市の取得の補助と栗原市の改修の補助は、0円物件サイトなどで0円で譲り受けた場合は使えないと考えられます(確認日は2026年10月3日。ほかの市町村の制度は確認していません)。
| 市 | 補助の内容 | 0円で譲り受けた場合の扱い |
|---|---|---|
| 白石市(定住者補助金) | 市外から転入して新築住宅か中古住宅を取得した人に30万円(市内の住宅関連の事業者を使うと20万円上乗せ)。申請の前3年以内に転入し、転入前の2年間は市内に住所がなかった人が対象で、取得から6か月以内に申請。2027年3月31日まで | 要件に「相続、贈与等で取得した住宅でないこと」とあり、申請には売買契約書などの写しが必要 |
| 栗原市(住まいる栗原 空き家リフォーム助成事業) | 市の空き家バンクで空き家を購入するか3年以上借りる人のリフォームに、費用の2分の1(最大70万円)。転入して3年未満(転入前の3年間は市外に住民登録)の人が対象で、着工の14日前までに申請 | 物件も購入する人も空き家バンクに登録していることが必要で、申請には売買契約書か賃貸借契約書の写しが必要 |
白石市の補助は、贈与で取得した住宅を対象外と明記しています。栗原市の補助は、市の空き家バンクを通した購入か賃貸が前提です。なお、大崎市が行っていた空き家の活用の助成(空き家を移住世帯に貸す所有者や事業者向け)は、2025年度で新規の受け付けを終えていました。県のページには、ほかの市町の空き家に関する補助も載っていますが、当サイトでは内容を確認していません。
0円や低価格で譲り受ける場合は、取得の補助を当てにしないで、改修の費用まで含めて見通しを立てましょう。補助を使いたい場合は、0円物件サイトだけでなく、市町村の空き家バンクで探すと選択肢が広がります。
また、東京23区に住んでいたか通勤していた人が移住する場合など、条件を満たせば国の移住支援金を使える市町村もあります。しくみは移住支援金とは?で、宮城県気仙沼市の例は気仙沼市の移住支援金はいくら?「関係人口要件」がある制度で解説しています。七ヶ宿町には、町が整備した住宅に20年住み続けると無償で譲り受けられる制度があり(入居の条件や空き状況は町に確かめましょう)、七ヶ宿町の移住支援金はいくら?条件と「住宅無償譲渡」制度を解説で紹介しています。
民間サイトで探す
- みんなの0円物件:宮城県のページで物件を確認できます。確認時点で募集中だったのは、栗原市の1971年築の家と田畑など7筆、大崎市の宅地約1,000㎡と建物2棟・畑のセットの2件でした。どちらも農地を含むので、取得の手続きを確かめましょう。
- ジモティー:宮城県の不動産で「譲り」と検索すると、80件と表示されました。1ページ目に並んだ投稿(受付終了の一覧を除く)19件のうち、価格が0円の物件は9件、1万円の物件が1件でした。0円のうち7件は、所有者と希望者をつなぐ事業者の投稿で、そのうち3件のタイトルには「※物件価格は0円ですが、成約時に…」とありました。成約のときに事業者への手数料などがかかる場合があるので、最初から所有権を譲り受ける物件か、価格のほかにかかる費用はないかを、投稿の本文で確かめましょう。
- アットホームの空き家バンク:登米市や石巻市、柴田町などの物件が表示されます。
0円でもかかる費用
物件が0円や低価格でも、次の費用がかかります。
- 登録免許税:無償で譲り受けた(贈与による)所有権の移転登記では、固定資産税評価額の2%です。買った場合の税率は、国税庁の税額表で確認してください。
- 不動産取得税:有償か無償かに関わらず、取得した人にかかります。税率や、かからない場合(免税点)の条件は、県の税務担当の窓口で確認してください。
- 贈与税:個人から無償で譲り受けた場合は贈与にあたり、その年にもらった財産の評価額の合計が110万円を超えると贈与税がかかります(110万円以下ならかからず、申告も不要です)。宮城県の掲載でも、固定資産税評価額が土地だけで約1,617万円と書かれた物件がありました(贈与税での土地の評価は、路線価か、固定資産税評価額に一定の倍率をかける方法で計算し、家屋は固定資産税評価額が基準です)。評価額が高い家や広い土地の場合は確かめておきましょう。
- 司法書士への報酬:登記を依頼する場合にかかります。
- 仲介手数料・マッチングの手数料:空き家バンクの物件を不動産事業者の仲介で買う場合や、事業者の仲介で0円物件を譲り受ける場合などにかかることがあります。
- 解体・改修の費用:古い家や傷みが大きい家では、住めるようにする改修や、解体の費用がかかることがあります。
- 別荘地の管理費・負担金:別荘地の物件では、管理費が毎月かかるほか、所有者が変わるときに負担金がかかることがあります。宮城県の掲載でも、初期費用が4,422,000円と書かれた物件がありました。
- 固定資産税:持っている間、毎年かかります。宮城県の掲載でも、家付きの物件で年27,800円や68,300円と書かれたものがありました。
みんなの0円物件の利用規約でも、登記費用や固定資産税の精算金などの実費は、物件を取得する人の負担となる場合があると定めています。税金の詳しいしくみは空き家を手放したい人へ|0円で譲る方法と手順の「譲るときの契約・登記・税金」の節で、譲る側・受け取る側の両方から解説しています。
掲示板やマッチングサイトの投稿には、所有者の連絡先など個人の情報が含まれることがあります。当サイトでは、こうした情報はそのまま紹介していません。0円物件のしくみや注意点は、空き家0円物件(差し上げます)とは?探し方と注意点もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1. 宮城県で家付きの0円物件はありますか?
0円物件サイトでは、これまでに家などの建物が付いた物件が16件掲載され、14件が成約しています。2026年10月3日の確認時点では、栗原市と大崎市の2件が募集中でした。ただし、1981年より前に建てられた家が中心で、再建築不可の家や、別荘地の負担金が大きい家もあるので、現地と費用を確かめましょう。市町村の空き家バンクもあわせて探すと、選べる物件が増えます。
Q2. 0円で譲り受けた家に、市の補助は使えますか?
当サイトで確認した白石市の取得の補助は、相続や贈与で取得した住宅を対象外としています(転入の時期などの条件もあります)。栗原市のリフォームの補助は、市の空き家バンクを通した購入か賃貸が前提で、転入して3年未満の人が対象です。このため、0円物件サイトで譲り受けた場合は使えないと考えられます。ほかの市町村の制度は、契約や工事の前に窓口に確かめましょう。
Q3. 宮城県の空き家を手放したい場合はどうすればいいですか?
市町村の空き家バンクに登録する、0円物件サイトに載せる、隣の土地の所有者に譲るなどの方法があります。宮城県の掲載にも、地元の不動産会社や近所の人に相談しても話がまとまらず、0円物件サイトで譲り先を探した気仙沼市の家がありました。手順や税金は空き家を手放したい人へ|0円で譲る方法と手順にまとめています。
まとめ
宮城県では、0円物件サイトにこれまで29件の掲載があり、半数を超える16件は家付きでした。家付きの物件は1981年より前に建てられた古い家が中心で、すぐに住めると書かれた家がある一方で、再建築不可の家や、0円でも温泉の負担金などで初期費用が440万円を超える別荘もありました。当サイトで確認した白石市・栗原市の補助は、0円で譲り受けた場合は使えないと考えられます。物件の価格だけでなく、管理費や負担金、改修の費用まで含めて見通しを立てておきましょう。
