広島県では、0円の空き家・土地を集めたサイトにこれまで58件の掲載がありました。多いのは尾道市(14件)と呉市(12件)で、家などの建物が付いた物件は38件あります。江田島や向島、倉橋島といった瀬戸内の島の家もありましたが、坂道の上にあって車が入れない家や、道路に面していない家も少なくありません。掲示板サイトには、物件価格が1万円の戸建ての投稿も出ていました。この記事では、0円物件サイトに広島県で掲載された58件を、1件ずつ詳細ページと説明文まで確認して集計しました。その結果をもとに、広島県で0円や1万円ほどの空き家を探す方法と、譲り受ける前に確かめたい点をまとめます。
広島県の0円物件の実例(58件)
0円の空き家・土地の掲載に特化した「みんなの0円物件」を2026年10月3日に確認したところ、広島県でこれまでの掲載は58件でした。状態の内訳は次のとおりです。
| 状態 | 件数 |
|---|---|
| 成約済み | 44件 |
| 取引中止 | 7件 |
| 受付停止 | 4件 |
| 募集中 | 3件 |
成約した44件の、掲載から成約までの日数の中央値は93日です。30日以内に成約した物件が4件、90日以内が22件ある一方で、1年以上かかった物件も4件ありました。掲載は2024年が17件、2025年が16件と多く、2026年も確認時点で5件ありました。
掲載のある市町は17で、尾道市(14件)と呉市(12件)で半数近くを占めます。次いで江田島市と三次市が各4件、廿日市市と東広島市が各3件でした。ほかは府中市・福山市・三原市・北広島町・世羅町・庄原市・広島市が各2件、大竹市・安芸高田市・安芸太田町・大崎上島町が各1件です。
家付きは38件、土地より成約に時間がかかる
58件のうち38件は家などの建物が付いた物件でした(プレハブ小屋のような建物が付いたものも含みます)。状態は成約済み30件、取引中止5件、受付停止2件、募集中1件です。成約した30件の、成約までの日数の中央値は126日で、家の付いていない土地(成約14件)の73.5日より長くなっています。呉市の家は、735日や598日かかって成約したものもありました。
築年が書かれた17件のうち、15件は1933年から1977年に建てられたもので、1981年より前でした。残る2件は1981年築と1986年築です。ほかにも、「築150年ほど」「築130年位」「大正10年築」などと説明に書かれた家があります。一般に、1981年6月1日より前に建築確認を受けた建物は、今の耐震基準より前の基準(旧耐震基準)で建てられています。
一方で、条件の厳しい家が早く成約した例もあります。
- 呉市の住宅街の平屋:呉駅から徒歩13分ほどで、21年空き家のまま仏壇や家電が残り、道路に接していないため再建築不可と書かれていました。掲載から6日で成約しています。
- 福山市の2階建ての家:擁壁に亀裂が入り、洗面所の床が抜け、シロアリの被害があり、車両が入れず、再建築もできないと書かれていました。18日で成約しています。
- 福山市の離島の家:以前に無償で譲る話があったものの、シロアリの被害があると大工さんに言われて話が流れたと書かれていました。今回は6日で成約しています。
家付きの物件で確かめたいこと
広島県の家付きの物件の説明には、次のような点が書かれていました。
- 車で家まで入れない:家付き38件のうち7件は、車で建物まで入れないと書かれていて、うち4件は呉市の家でした。呉市の音戸の家は、幅1mほどの急な坂道を5分ほど登る必要があり、月4,000〜5,000円ほどの駐車場を借りるよう案内されていました。尾道市には、家の前まで車が入れないために、別の場所に家を建てて40年前に空き家になったという家もあります。ほかに、「軽自動車がやっと通れるほどの道しかありません」「5ナンバー以下の車しか通行できません」と、道が狭いことが書かれた家も3件ありました。
- 道路に面していない・建て替えができない:呉市や福山市の家のように、再建築不可と書かれた家がありました。都市計画区域などでは、建物を建てるには原則として建築基準法上の道路(幅4m以上など)に2m以上接している必要があります(接道義務)。尾道市には、家の前の道が倒産した不動産会社の所有地のようで、建て替えのときは許可がおりるようにすると役所から口頭で伝えられた、と書かれた家もありました。庄原市のプレハブ小屋の付いた土地は、入り口が共有地とみられ、その扱いがどうなっているか不明と書かれていました。建て替えや増築を考えている場合は、市町の窓口で確かめましょう。
- 解体が条件・倒壊のおそれ:尾道市の向島の家は、建物の一部の柱が基礎から外れ、倒壊の可能性があるとして、解体して再利用することが譲る条件でした。北広島町の家は「ほぼ廃墟」と書かれ、建物が未登記のため所有権の移転は土地だけで、解体を前提に、解体の費用は譲り受ける人の負担とされていました。三次市の店舗も、倒壊のおそれがあり、解体の費用を負担して早急に対応できる人を希望していました。
- 古い設備・傷み:家付き38件のうち4件は、トイレが汲み取り式と書かれていました。庄原市の家は井戸水を汲み上げる水道で、呉市の倉橋島の家は水道と電気が通っていないとされていました。シロアリの被害は2件、雨漏りは3件、建物の全部か一部が未登記の家は4件ありました。
- 借家人や農地が付いている:尾道市の法人が持つ共同住宅3棟は、1軒に借家人が住んでいて、家賃は月15,000円と書かれていました。三原市や世羅町、大崎上島町などには、田畑や山林が付いた家もありました。大崎上島町の家は、農地法第3条の許可を取得していると書かれる一方で、近所の人が農地を勝手に使っている可能性があるともされていました。
家付きの物件の固定資産税は、書かれた18件のうち、課税なしや0円が3件、ほかの15件は年3,000円から71,500円でした(71,500円は共同住宅3棟の物件で、1軒の家では最大50,500円)。
土地で確かめたいこと
家が付いていない土地の20件の説明には、次のような点が書かれていました。
- 農地:20件のうち5件は田や畑を含む土地でした。確認時点で募集中だった尾道市の農地は、「転用は基本的に不可と聞いています」と書かれ、農地法第3条の許可が必要とされています。東広島市の田は、農業振興地域の農用地区域に指定されていて、原則として農地以外の用途に変えられないとされていました。農地を譲り受けるには、原則として農業委員会の許可が要ります。
- 山林・保安林:20件のうち10件は山林・保安林・原野を含む土地でした。呉市の保安林は、木の伐採に知事の許可が必要と書かれていました。北広島町の山林は、住宅を建てられないとされていました。
- 別荘地の管理費:廿日市市の吉和の別荘地は、固定資産税はかからないものの、管理費が年5万円かかると書かれていました。
- 道路に接していない・境界がはっきりしない:江田島市の土地(取引中止)は、道路に接しておらず、隣の土地を通って入らせてもらっていて、境界もよくわからないとされていました。
ほかにも、府中市には墓地の一区画(6.61㎡)の掲載がありました。土地の固定資産税は、課税なしや0円が5件、ほかの5件は年585円から34,900円でした。
1万円の空き家を探す
「空き家 1万円 広島」という検索も、キーワードツールで調べると月に500〜720件ほどあります。掲示板サイトのジモティーで、広島県の不動産を「譲り」と検索すると、2026年10月3日の時点で、物件価格が1万円(税込)の戸建ての投稿が2件ありました。どちらも尾道市の島の家です。
- 向島の家:1973年築の木造2階建てで、「リフォームしないと住めません」と書かれていました。トイレは汲み取り式で、境界は明示せず、登記の費用は全額負担とされています。申し込みの前に内覧するよう求められていました。
- 因島の家:不動産会社の投稿で、1963年築の家です。「再建築不可」「近隣に急傾斜地特別警戒区域有」と書かれ、司法書士は売主が指定し、境界は明示しないとされていました。
1万円の物件は、0円での譲り受けではなく売買です。価格が安くても、登記の費用や税金、改修の費用は別にかかります。再建築不可や境界非明示といった条件も、申し込む前に確かめましょう。
空き家バンクで探す
0円物件サイトでは確認時点で募集中の物件が3件だったので、空き家バンクもあわせて確認しましょう。広島県は、県内の市町の空き家バンクの物件をまとめて探せる「ひろしま空き家バンク みんと。」を運営しています。参加している市町と探し方は、広島県の空き家バンク一覧|運営市町と探し方にまとめています。
アットホームが運営する「空き家バンク」のサイトでは、広島県から9市町が参加しています。2026年10月3日に売買物件を確認すると、173件が表示されました。多いのは三原市(60件)、三次市(59件)、竹原市(27件)です。
- 種類は、戸建てが171件、土地が2件でした。
- 価格が100万円以下の物件は12件(すべて戸建て)で、最も安い物件は35万円でした。
- 0円の物件はありませんでした。
0円物件サイトで多かった尾道市と呉市は、アットホームのサイトには参加していません。尾道市や呉市で探す場合は、「みんと。」や市の空き家バンクを確認しましょう。
呉市・尾道市・江田島市の補助は、使えるかを早めに確かめる
広島県の市町には、空き家の購入や改修への補助があります。当サイトで確認した呉市・尾道市・江田島市の補助は、次のとおりです(確認日は2026年10月3日。ほかの市町の制度は確認していません)。
| 市 | 補助の内容 | 0円で譲り受けた場合の扱い |
|---|---|---|
| 呉市(移住希望者住宅取得支援事業) | 市外から移住する人が中古住宅を買って住む場合に、購入費の2分の1(基本50万円、加算を含めて最大150万円)。過去3年間に呉市に住民登録がないこと、呉市に5年以上定住すること、自治会に加入すること(自治会がある地域)、建物と土地の登記名義人になることなどが条件で、三親等内の親族から買う家や、土砂災害特別警戒区域内の家は対象外。購入(所有権移転登記)の前に申請が必要で、2026年度の予算の範囲内で実施 | 補助は購入費の2分の1までで、購入が前提のため、0円で譲り受けた家には使えないと考えられる |
| 尾道市(空家等改修支援事業補助金) | 市の空き家バンクに登録している家を、住むために市内の業者で改修する費用の3分の2(上限30万円)。対象は旧市街の一部の町、御調町、因島、原田町などの区域に限られる | 対象者は、家の所有者など(空き家バンクの物件を購入した人を除く)、空き家バンクの物件を借りる人、空き家バンクの物件を購入した人で、0円で譲り受けた場合の扱いは書かれていない。改修後原則30日以内に所有者などの3親等内以外の人が入居し10年以上住む見込みであること、市外に住む人か今の住まいが空き家にならない市内の人であること、交付決定の前に工事の契約や着手をしないことなどが条件。2026年度は予算の上限に達して受付を終了 |
| 江田島市(空き家修繕補助) | 住むためや活用のために、市内の業者で、壊れた屋根や床、配管など生活に支障をきたす箇所を修繕する費用の10分の3(上限30万円)。リフォーム工事は対象外 | 対象は「空き家を所有又は購入した個人」で、0円で譲り受けて所有者になった場合も当てはまる可能性がある。所有者などが市の「空き家登録台帳」に登録した空き家が対象で、共有名義の家や空き家バンクに登録する家は除かれる。工事の契約前の申請、修繕した家を10年間は売却などしないこと、市税の滞納がないこと、3月10日までに実績報告ができることが条件 |
呉市の補助は購入が前提なので、0円物件サイトで譲り受けた家には使えないと考えられます。確認時点で募集中だった呉市の音戸の家も、補助を当てにせず、改修の費用まで含めて見通しを立てましょう。
尾道市の補助は、市の空き家バンクに登録された家が対象で、0円物件サイトで譲り受けた家がそのまま対象になるとは限りません。交付決定の前に工事の契約や着手をすると対象外になり、2026年度の受付もすでに終わっています。
江田島市の修繕補助は、「空き家を所有又は購入した個人」が対象とされているので、0円で譲り受けて所有者になった家でも対象になる可能性があります。ただし、共有名義の家は対象外で、修繕した家は10年間売却などができず、リフォーム工事も対象になりません。予定件数は15件で予算の範囲内とされており、契約前の申請が必要です。使いたい場合は、工事の前に市に確かめましょう。なお、江田島市の空き家購入補助(購入費の10分の3、上限30万円)は購入が前提です。
また、東京23区に住んでいたか通勤していた人が移住する場合など、条件を満たせば国の移住支援金を使える市町村もあります。しくみは移住支援金とは?で解説しています。
民間サイトで探す
- みんなの0円物件:広島県のページで物件を確認できます。確認時点で募集中だったのは、呉市の音戸の家屋2棟と土地、江田島市の広島湾が見える宅地と田、尾道市の農地の3件でした。呉市の物件は、駐車場が坂の下にあって少し離れていると書かれ、建物と土地をまとめて譲り受けることが条件です。
- ジモティー:広島県の不動産で「譲り」と検索すると、64件と表示されました。1ページ目に並んだ投稿(受付終了の一覧を除く)19件には、1万円の戸建てのほか、タイトルに「15年で差し上げます」とある投稿が3件ありました。一覧の説明には「土地と建物を100円で、お譲りします。(家賃で家が手に入ります)」とあり、表示の価格は3万円〜3.5万円で、借りて家賃を払ったあとに譲り受ける形とみられます。最初から所有権を譲り受ける物件か、価格のほかにかかる費用はないかを、投稿の本文で確かめましょう。
- アットホームの空き家バンク:三原市や三次市、竹原市などの物件が表示されます。
0円でもかかる費用
物件が0円や低価格でも、次の費用がかかります。
- 登録免許税:無償で譲り受けた(贈与による)所有権の移転登記では、固定資産税評価額の2%です。買った場合の税率は、国税庁の税額表で確認してください。北広島町の家のように、登録免許税や司法書士の報酬を所有者が負担すると書かれた物件もありました。
- 不動産取得税:有償か無償かに関わらず、取得した人にかかります。税率や、かからない場合(免税点)の条件は、県の税務担当の窓口で確認してください。
- 贈与税:個人から無償で譲り受けた場合は贈与にあたり、その年にもらった財産の評価額の合計が110万円を超えると贈与税がかかります(110万円以下ならかからず、申告も不要です)。広島県の掲載でも、募集中の尾道市の農地のように、固定資産税評価額が約1,093万円と書かれた土地がありました(贈与税での土地の評価は、路線価か、固定資産税評価額に一定の倍率をかける方法で計算し、家屋は固定資産税評価額が基準です)。また、法人から無償で譲り受けた場合は、贈与税ではなく所得税がかかります。評価額が高い土地や、法人が持つ物件の場合は確かめておきましょう。
- 司法書士への報酬:登記を依頼する場合にかかります。司法書士を所有者側が指定する物件もあります。建物が未登記の物件の手続きも、専門家に相談すると安心です。
- 仲介手数料・マッチングの手数料:空き家バンクの物件を不動産事業者の仲介で買う場合や、事業者の仲介で0円物件を譲り受ける場合などにかかることがあります。
- 解体・改修の費用:古い家や傷みが大きい家では、住めるようにする改修や、解体の費用がかかることがあります。解体を条件に譲る家もあり、車や重機が入れない場所では、工事の費用が高くなることがあります。
- 駐車場・管理費:車で家まで入れない家では、近くの駐車場を借りる費用がかかることがあります。別荘地では、管理費が毎年かかります。
- 固定資産税:持っている間、毎年かかります。広島県の掲載でも、家付きの物件で年44,900円や50,500円、土地で年18,900円や34,900円と書かれたものがありました。
みんなの0円物件の利用規約でも、登記費用や固定資産税の精算金などの実費は、物件を取得する人の負担となる場合があると定めています。税金の詳しいしくみは空き家を手放したい人へ|0円で譲る方法と手順の「譲るときの契約・登記・税金」の節で、譲る側・受け取る側の両方から解説しています。
掲示板やマッチングサイトの投稿には、所有者の連絡先など個人の情報が含まれることがあります。当サイトでは、こうした情報はそのまま紹介していません。0円物件のしくみや注意点は、空き家0円物件(差し上げます)とは?探し方と注意点もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1. 広島県で1万円の空き家はありますか?
2026年10月3日の時点で、ジモティーに物件価格が1万円の戸建ての投稿が2件ありました(尾道市の向島と因島)。どちらも、リフォームが必要、再建築不可、境界を明示しないといった条件が書かれていました。アットホームの空き家バンクでは、広島県の最も安い物件は35万円でした。1万円でも売買なので、登記の費用や税金、改修の費用は別にかかります。
Q2. 0円で譲り受けた家に、市の補助は使えますか?
当サイトで確認した呉市の補助は購入が前提で、0円で譲り受けた家には使えないと考えられます。尾道市の改修補助は市の空き家バンクに登録された家が対象で、2026年度の受付は終わっていました。江田島市の修繕補助は「空き家を所有又は購入した個人」が対象で、0円で譲り受けた家でも対象になる可能性があります(共有名義の家は対象外、修繕後10年は売却などができません)。ほかの市町の制度も含め、契約や工事の前に窓口に確かめましょう。
Q3. 広島県の空き家を手放したい場合はどうすればいいですか?
市町の空き家バンクに登録する、0円物件サイトに載せる、隣の土地の所有者に譲るなどの方法があります。広島県の掲載にも、遠方に住んでいて管理できないため、0円で譲り先を探したと書かれた家や土地がありました。手順や税金は空き家を手放したい人へ|0円で譲る方法と手順にまとめています。
まとめ
広島県では、0円物件サイトにこれまで58件の掲載があり、尾道市と呉市が半数近くを占めていました。家付きの物件は38件で、瀬戸内の島の家もありますが、1981年より前に建てられた古い家が中心で、坂道の上にあって車で入れない家や、道路に面していない家もありました。家付きの物件は、土地より成約までに時間がかかる傾向がありました。ジモティーには1万円の戸建ての投稿もありましたが、再建築不可などの条件が付いていました。当サイトで確認した呉市の補助は購入が前提で、尾道市の改修補助は2026年度の受付を終えていました。道や坂、工事のしやすさまで現地で確かめ、改修の費用を含めて見通しを立てておきましょう。
