老後の移住先を探していて、「移住支援金は老後でも使えるのか」気になっている方へ。結論から言うと、移住支援金は「就業・起業・テレワークの継続」などの要件を満たすことが前提の制度のため、仕事を辞めて年金収入のみで暮らす完全リタイア後の移住は、原則対象外になりやすいのが実情です。この記事では、内閣府の一次情報にもとづく対象要件と、当サイトで確認した自治体の住宅補助に多い年齢制限の実例、対象外の場合に検討したい選択肢を整理します。
移住支援金の対象要件に「年齢の上限」自体はない
移住支援金とは?いくらもらえるか仕組みを解説で確認したとおり、内閣府公式サイトが示す移住支援金の対象要件は、移住元の要件・移住先の要件・就業等の要件の3つです(2026-09-12確認)。このうち年齢に関する上限は、内閣府が示す制度の枠組みの中には明記されていません。つまり「60歳以上は対象外」「65歳以上は申請不可」といった年齢そのものを理由にした制限は、国の制度上は存在しないということになります。
ただし「就業等の要件」が老後の移住と噛み合いにくい
年齢の上限がない一方で、3つの要件のうち「就業等の要件」は次のいずれかを満たす必要があります。
- 移住支援金の対象求人サイトに掲載された地域中小企業等への就業
- テレワークの継続
- 起業支援金の受給(移住支援金は起業でも使える?仕組みを解説参照)
- 移住先市町村が独自に定める要件
完全にリタイアして、新たに働く予定がなく、年金収入のみで暮らす前提で移住する場合、このいずれにも該当しないケースが多くなります。制度上「老後だから対象外」と明記されているわけではなく、「就業等をしない前提の移住だと、結果的にこの要件を満たせない」という構造になっている点を理解しておくことが大切です。
逆に言えば、定年後に地域の中小企業へ再就職する、移住先で起業する、在職中の勤務先のテレワークを継続するといった形で移住する場合は、年齢に関わらず対象になり得ます。老後の移住でも就業等を伴う予定がある場合は、あきらめずに移住先自治体の窓口で対象求人や起業支援金の実施状況を確認してみてください。
自治体独自の住宅補助にも年齢制限があるケースが多い
移住支援金そのものに年齢の上限はありませんが、移住支援金とあわせて案内されることが多い自治体独自の住宅関連補助には、年齢制限が設けられているケースが目立ちます。当サイトで一次情報を確認した自治体では、次のような例がありました。
| 自治体 | 制度名 | 年齢条件 |
|---|---|---|
| 島根県飯南町 | 住宅新築支援事業 | 45歳以下が対象 |
| 島根県飯南町 | 住宅増改築支援事業 | 45歳以下が対象 |
| 島根県飯南町 | 空き家購入助成金 | 65歳以下が対象 |
| 長野県飯山市 | 新築住宅補助 | 40歳未満の世帯が対象(上限額の条件) |
| 長野県飯山市 | 中古住宅購入補助 | 40歳未満の世帯が対象(上限額の条件) |
| 長野県松川村 | 移住定住促進補助金 | 45歳以下が対象 |
(飯南町「定住のための助成金制度」、飯山市「移住支援住宅建設促進事業」、松川村移住定住促進補助金交付要綱、いずれも2026-09-11確認)
これらはいずれも移住支援金とは別の、市町村独自の住宅取得・改修補助です。制度によって上限が「45歳以下」「40歳未満」「65歳以下」など異なり、すべての自治体がこうした年齢制限を設けているとは限りませんが、老後の移住で住宅関連の補助もあわせて活用したい場合は、移住支援金の対象要件だけでなく、こうした住宅補助側の年齢条件も個別に確認しておく必要があります。
対象外になりやすい場合に検討したい選択肢
就業等の予定がなく、移住支援金の対象になりにくい場合でも、老後の住まい探し自体をあきらめる必要はありません。移住支援金のような就業要件を伴わない、次のような制度・情報のほうが老後の移住には現実的な選択肢になります。
- 空き家バンク:自治体が運営する空き家の紹介制度で、就業要件はありません。空き家バンクとは?仕組みと不動産仲介との違いで仕組みを解説しています
- 空き家0円物件:無償や低価格で譲渡される空き家情報です。就業要件はなく、空き家0円物件(差し上げます)とは?探し方と注意点で探し方・注意点を解説しています
移住先の住まいを探す段階であれば、これらの制度は移住支援金の対象になるかどうかに関係なく利用できます。移住支援金はあくまで「もらえたら移住資金の助けになる」制度の一つとして捉え、住まい探し自体は空き家バンク・0円物件情報から進めるのが現実的です。
よくある質問
Q1. 年金生活者は移住支援金を絶対に受け取れませんか?
内閣府の制度上、年齢そのものを理由に除外する規定はありません。ただし就業・起業・テレワークの継続などの要件を満たす必要があるため、就業等を一切しない前提の移住では対象になりにくいのが実情です。定年後に地域で再就職・起業する予定がある場合は、移住先自治体の窓口で確認してみることをおすすめします。
Q2. 移住支援金が対象外でも、空き家バンクは利用できますか?
はい。空き家バンクは自治体が空き家の情報を紹介する制度で、移住支援金のような就業要件はありません。移住支援金の対象になるかどうかにかかわらず、利用を検討できます。
Q3. 自治体独自の住宅補助に年齢制限があるのはなぜですか?
当サイトで確認した範囲では、若い世代・子育て世代の定住促進を目的に年齢条件を設けている自治体が見られました(飯南町・飯山市・松川村の例)。ただしすべての自治体が同様の年齢制限を設けているとは限らないため、移住先として検討している自治体の公式サイトで個別に確認してください。
制度全体の仕組みは移住支援金とは?いくらもらえるか仕組みを解説で解説しています。単身での金額の目安は移住支援金は単身でもらえる?金額を比較、起業を伴う場合の要件は移住支援金は起業でも使える?仕組みを解説もあわせてご覧ください。
まとめ
移住支援金そのものに年齢の上限はありませんが、就業・起業・テレワークの継続などの要件を満たす必要があるため、完全にリタイアして年金収入のみで暮らす前提の老後の移住では、対象になりにくいのが実情です。また、移住支援金とは別に自治体が用意する住宅補助には、45歳以下・65歳以下といった年齢制限があるケースも見られます。就業等の予定がなく移住支援金の対象になりにくい場合は、就業要件のない空き家バンクや空き家0円物件の情報から住まい探しを進めるのが現実的です。
