空き家を手放したい人へ|0円で譲る方法と手順

空き家を手放したい人へ|0円で譲る方法と手順

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「相続した実家が空き家のまま」「売りに出しても買い手がつかない」。固定資産税や草刈りの手間だけが続き、0円でもいいから手放したいと考える所有者は少なくありません。空き家を手放す方法は、隣の家や知人に譲る、空き家バンクや0円物件のサイトで引き取り手を探す、更地にして国に引き取ってもらうなど、いくつかあります。ただし、どの方法を選んでも、名義の確認や家財の片付けは避けて通れません。この記事では、法務省・国税庁などの公的情報をもとに、手放すまでの順番と、所有者にかかる手間や費用を整理します。

目次

空き家を手放す主な方法と向いているケース

先に結論をまとめます。建物が付いたままでも使いたい人がいそうなら「0円で譲る相手を探す」、建物ごとでは引き取り手が見つからないなら「解体して更地にしてから考える」。これが大まかな分かれ目です。主な方法と、それぞれで所有者にかかる負担は次のとおりです。

方法向いているケース所有者側の主な負担
隣地の所有者・知人に譲る隣の家が土地を広げたい、知り合いに使いたい人がいる契約書づくり・登記の手続き
自治体の空き家バンクに登録する物件のある市町村が空き家バンクを運営している登録の申し込み(条件は自治体ごとに違う)
0円物件のマッチングサイトに載せる地域の外からも引き取り手を探したい掲載の準備・問い合わせへの対応
解体して国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度)相続した土地で、引き取り手が見つからない解体費用・審査手数料・負担金
買取業者に売る早く手放したい、個人とのやり取りを避けたい査定の依頼・条件の比較

「自治体に寄付する」「相続放棄する」もよく名前が挙がる方法ですが、実際に使える場面は限られます。理由は後半の「引き取り手が見つからないときの選択肢」で説明します。

どの方法でも、次の章で説明する「名義」「境界」「建物の状態」の確認が先に必要です。ここを飛ばすと、相手が見つかった後で手続きが止まってしまいます。

手放す前に確認しておきたい3つのこと

名義が自分になっているか(相続登記)

相続した空き家の名義が亡くなった親のままだと、譲ることも売ることもできません。まずは名義を自分に移す「相続登記」が必要です。

法務省によると、2024年4月1日から相続登記は義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる可能性があります。2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合は、誰が相続するかを話し合ってから登記することになります。

土地の境界と権利関係

隣の土地との境界がはっきりしないまま譲ると、引き取った人と隣地の間でトラブルになりやすくなります。境界を示す杭があるか、登記簿の面積と実際の広さが大きく違っていないかを確認しておきましょう。あわせて、昔の借入れの抵当権が残っていないかも登記簿で確かめておくと安心です。

建物の状態を把握し、隠さず伝える

雨漏り、シロアリの被害、傾き、設備の故障など、分かっている不具合は書き出しておきます。0円で譲る場合でも、後から「聞いていなかった」と言われるのが一番のトラブルのもとです。不具合は書面で相手に伝え、「現状のまま引き渡す」ことを契約書に書いておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。

家財道具(残置物)の片付けをどうするか

空き家を手放すときに意外と手間がかかるのが、家に残った家財道具の扱いです。片付けてから譲るか、残したまま譲るかは、相手と話し合って決めます。家具や家電をそのまま使いたいという人もいますが、多くの荷物が残っていると引き取る側の負担が大きくなり、話がまとまりにくくなります。当サイトの空き家0円物件の解説記事でも、片付けが済んでいないことを、空き家が0円で手放される事情のひとつとして紹介しています。

片付けは、次の順番で進めると無駄が出にくくなります。

  1. 形見や書類など、家族が残したいものを先に分ける
  2. まだ使える家具・家電は、引き取り手や親族に声をかける
  3. 残ったものの量を見て、自分たちで運び出すか業者に頼むかを決める

量が多い、遠方に住んでいて通えないといった場合は、不用品回収業者に頼む方法があります。料金は荷物の量や建物の条件で変わるため、現地を見てもらったうえで見積もりを取り、内容を比べてから依頼しましょう。

依頼先を探すときは、片付けの目的に合ったサービスを選ぶと比べやすくなります。

相続した実家などで、遺品整理や生前整理として家財をまとめて片付けたい場合は、遺品整理のコンシェルジュで業者の見積もりを比べる方法があります。株式会社TOLが運営するサービスで、遺品整理・生前整理・空き家の片付けに対応する業者を最大3社まで紹介してもらえます。公式サイトによると、見積もりは無料で、見積もりの段階であればキャンセルもできます(作業を頼む場合の料金は各業者に支払います)。対応エリアは、関東(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木)と関西(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀)の各都府県、静岡県、北海道の一部の地域(札幌市・旭川市・函館市など)です(2026年10月19日時点)。建物の所在地と住まいの地域のどちらが基準になるかは公式サイトに明記がないため、申し込み前に確認してください。

片付けたい建物が上記の対応エリアの外にある場合や、片付けた後の売却や0円譲渡、解体まで同じ窓口で相談したい場合は、空き家片付けセンターもあります。株式会社つなぐが運営する空き家専門のサービスで、全国の空き家について相談を受け付けています(地域や内容によって対応方法は異なります)。公式サイトでは、相談・現地下見・見積もりは無料と案内されています。

0円で譲る相手の探し方

まずは隣の家や知人に声をかける

最初に当たってみたいのが、隣の土地の所有者です。隣の家にとっては、駐車場や庭として土地を広げられる機会になる場合があります。知人や親族に、空き家を使いたい人がいないか聞いてみるのも同じ理由で有効です。顔の見える相手なので、話がまとまったときの手続きも進めやすくなります。

自治体の空き家バンクに登録する

空き家バンクは、空き家を手放したい・貸したい所有者と、使いたい人を自治体がつなぐ制度です。物件のある市町村の担当窓口に登録を申し込みます。たとえば北九州市は、空き家バンクへの登録・掲載を通じて所有者と不動産事業者をつなぎ、売却や賃貸を支援していると案内しています。

登録できる物件の条件、0円での登録を受け付けるかどうか、不動産会社が間に入るかどうかは、自治体ごとに違います。まずは窓口に「無償で譲りたい」と伝えて相談するのが確実です。空き家バンクの仕組みは空き家バンクとは?初めての使い方で詳しく解説しています。

0円物件のマッチングサイトに載せる

地域の外からも引き取り手を探したい場合は、民間のマッチングサイトに載せる方法があります。取得者向けの記事でも紹介している主なサイトの、所有者側の費用は次のとおりです。

  • みんなの0円物件:0円の空き家・空き地の掲載に特化したサイトです。LIFULL HOME’S PRESSの解説記事(2021年3月公開)によると、運営は0円都市開発合同会社で、掲載は無料です。当事者同士で手続きする「¥0プラン」なら費用はかからず、契約手続きのサポートが付く「おまかせプラン」は15万円とされています。
  • 家いちば:売り手と買い手が直接やり取りする不動産の掲示板です。公式のQ&Aによると、掲載や商談の段階では費用はかからず、成約したときだけ「家いちば手数料」(基本料と契約サポート料)がかかります。登記費用などは別に実費が必要です。

どちらも、料金やプランは変わることがあるため、掲載前に公式サイトで最新の条件を確認してください。

掲載すると、物件に興味を持った人から問い合わせが来ます。一方で、「高く買い取ります」「手続きの費用を先に払ってください」といった連絡には注意が必要です。土地を手放したい人を狙った「原野商法の二次被害」について、国土交通省や国民生活センターが注意を呼びかけています。詳しくは空き家0円物件の解説記事の「トラブル・詐欺に注意すべきポイント」を参照してください。

譲るときの契約・登記・税金

契約書を作り、名義を移す

相手が決まったら、無償で譲ることを書いた契約書(贈与契約書)を作ります。口約束だけで済ませず、物件の範囲、引き渡しの日、残った家財の扱い、不具合を伝えたことを書面に残しておきましょう。

契約の後は、名義を相手に移す登記(所有権移転登記)を法務局に申請します。自分たちで申請するほか、司法書士に依頼する方法もあります。国税庁によると、贈与による名義変更の登録免許税は、固定資産課税台帳の価格(固定資産税の評価額)の1,000分の20(2%)です。土地と建物のそれぞれにかかります。

誰にどんな税金がかかるか

0円で譲る場合、税金の多くは受け取る側にかかります。

税金・費用かかる人内容
登録免許税登記を申請するとき(負担者は当事者で決める)固定資産税の評価額×1,000分の20
不動産取得税受け取った人評価額×3%(土地・住宅、2027年3月31日までの取得)。有償・無償に関わらずかかり、相続は対象外
贈与税受け取った人(個人の場合)1年間にもらった財産の合計が基礎控除110万円を超えるとかかる

国税庁によると、贈与税は贈与を受けた人が、翌年2月1日から3月15日までに申告と納税をします。不動産取得税は、物件のある都道府県の税金です。東京都主税局の案内によると、2027年3月31日までに取得した場合の税率は、土地と住宅が3%、住宅以外の建物が4%です。宅地は同じ期限まで、課税標準(税額を計算するもとになる価格)が評価額の2分の1になります。また、課税標準が免税点に満たなければ課税されません。2026年4月1日以降に取得した場合の免税点は、土地が16万円、新築以外(売買・贈与など)で取得した家屋が34万円です。評価額の低い古い空き家では、かからない場合もあります。住宅やその敷地にはほかにも軽減制度があるため、具体的な額は物件のある都道府県の税事務所で確認してください。

受け取る側に税金や登記費用がかかることは、募集の段階で伝えておくと、話がまとまった後の行き違いを防げます。

引き取り手が見つからないときの選択肢

解体して更地にする

建物が古く、そのままでは引き取り手が見つからない場合は、解体して更地にする方法があります。更地のほうが使い道を考えやすく、次に説明する国庫帰属制度も、建物がないことが前提です。

一方で、解体には数百万円規模の費用がかかることがあり、建物がなくなると土地の固定資産税の軽減(住宅用地の特例)が外れて、税額が上がる場合があります。自治体によっては解体費用の補助金もあります。費用の目安や補助金の実例は空き家の解体補助金と管理不全空家の注意点で解説しています。

解体の見積もり先を探す方法のひとつに、解体工事110番があります。シェアリングテクノロジー株式会社が運営するサービスで、予算や完了希望日、現場の状況を伝えると解体業者を紹介してもらえます(見積もりは無料)。紹介されるのは相談内容に合わせて選ばれた1社なので、ほかの業者の見積もりと比べるときの1件として使うとよいでしょう。

国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度)

相続や遺贈で取得した土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。法務省によると、2023年4月27日に始まりました。所有者にとっては使いやすそうに見えますが、次の点に注意が必要です。

  • 建物がある土地は申請できない:建物が残っていると申請は却下されます。空き家の場合は、先に解体することが前提になります。
  • 審査手数料がかかる:土地1筆あたり14,000円です。却下・不承認になっても返ってきません。
  • 負担金を納める:承認されると、10年分の管理費用にあたる負担金を納めます。基本は20万円で、市街化区域などの宅地・農地や森林は、面積に応じて20万円以上になります。
  • 申請先:土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局です。支局・出張所では受け付けていません。

このほかにも引き取れない土地の条件が定められているため、使えるかどうかは申請先の法務局に相談して確かめましょう。解体費用と負担金を合わせると、手放すまでにまとまった費用がかかる点も考えておく必要があります。

自治体に寄付する

「市役所に寄付すればいい」と考える方もいますが、受け付けていない自治体が多いのが実情です。たとえば北九州市は空き家の寄付を受け付けておらず、福井市も有償・無償に関わらず空き家の引き取りは行っていないと案内しています。

ただし、石川県能美市のように、条件を満たす空き家の寄付を受け入れ、市が次の使い手へつなぐ制度を設けている自治体もあります。物件のある自治体に、寄付を受け付ける制度があるかを問い合わせてみる価値はあります。

相続放棄は空き家だけを手放す方法ではない

相続放棄をすると、土地や家などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も、どちらも受け継がないことになります。空き家だけを選んで放棄することはできません。手続きは、相続が始まったことを知ったときから3か月以内に、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。すでに相続して名義を移した空き家には使えないため、選択肢になるのは相続が起きた直後に限られます。

買取業者に売る

0円でも引き取り手が見つからない、個人とのやり取りに不安があるという場合は、空き家の買取を行う不動産会社に相談する方法もあります。買取価格や条件は会社や物件によって違うため、複数の会社の査定を比べて判断しましょう。

【PR】仲介(不動産会社に買い手を探してもらう売り方)と買取のどちらが向いているかも含めて比べたい場合は、空き家の売却査定を複数の会社にまとめて依頼できるタウンライフ空き家売却もあります。公式サイトによると、査定の依頼は無料で、全国1,714市区町村に対応し、550社が加入しています(2026年10月現在)。物件の情報を入力して依頼したい会社を選ぶと、各社から査定や売却方法の提案を受け取れます。

よくある質問

Q1. 空き家を0円で譲ると、所有者に税金はかかりますか?

個人に無償で譲る場合、贈与税を納めるのは受け取った人です(国税庁)。不動産取得税も取得した人にかかります。所有者側で費用がかかりやすいのは、名義変更の登録免許税や司法書士への報酬ですが、どちらが負担するかは当事者で決められます。契約書に負担者を書いておきましょう。

Q2. 建物が古くても相続土地国庫帰属制度は使えますか?

建物が残ったままでは使えません。建物がある土地は申請が却下されるため、先に解体して更地にする必要があります。解体費用に加えて、審査手数料(1筆14,000円)と負担金(基本20万円)がかかります。

Q3. 親の名義のままでも空き家を譲れますか?

譲れません。先に相続登記をして、名義を自分に移す必要があります。相続登記は2024年4月1日から義務になっており、相続を知った日から3年以内に登記しなければなりません。それより前に相続した不動産も、2027年3月31日が期限です。

まとめ

空き家を手放すには、まず名義(相続登記)・境界・建物の状態を確認し、家財の片付けを進めます。そのうえで、隣地の所有者や知人、空き家バンク、0円物件のサイトで引き取り手を探すのが基本の流れです。0円で譲る場合、贈与税や不動産取得税は受け取る側にかかります。引き取り手が見つからないときは、解体して更地にし、相続土地国庫帰属制度や買取を検討します。自治体への寄付や相続放棄は使える場面が限られるため、早めに自治体の窓口や法務局に相談しましょう。

参考情報

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